スポーツ障害・外傷

スポーツ障害とは

オーバーユース(使い過ぎ)によって、「慢性的な痛み」や「動かしにくさ」といった症状が続いている状態です。
障害が起こっている部位だけを治療するのではなく、根本的な発症原因を重要視し、改善を目指すことが重要です。
具体的に言いますと、身体の柔軟性が低いことが原因でフォームが悪くなり、痛みが生じるケースもあります。
スポーツ外傷とは、運動中に人とぶつかったり、ひねったりした場合など1回の強い外力によって生じるけがのことです。当院では、理学療法士と連携した治療を提供し、お子さんから成人まで、あらゆる年代のスポーツ障害・外傷の治療に対応しています。
疾患や発生部位の診療だけではなく、身体全体の調子を確認し、フォームの悪さや筋肉・関節の硬さなどの発症原因を理学療法で解消させるといった治療法も併せて行っていきます。

上肢のスポーツ障害・外傷

手・指

腰~股関節のスポーツ障害・外傷

股関節

下肢のスポーツ障害・外傷

膝・下腿

下腿

足・足関節

肉離れ

肉離れの症状

肉離れの原因と病態

スポーツを行っている時に、ふくらはぎの内側の中央上部(上中1/3部)に痛みが走ることが多いです。
大腿部(太もも)が痛くなることもあります。 体重をかけると痛くなるため、歩くことが難しくなります。

肉離れの原因と病態

筋肉が伸ばされたまま収縮した時に、筋力に負けて部分断裂してしまう状態で、スポーツが原因で発生することが多いです。 ふくらはぎの肉離れは、下腿二頭筋の内側頭の筋肉が部分的に断裂することで起こることが多いです。
大腿部の前面の肉離れは大腿四頭筋が、後面の肉離れはハムストリング筋が部分的に断裂することで発生します。

肉離れの診断

スポーツを行っている時に、強い負荷がかかった可能性があります。
発症しやすい部位を押して痛かった場合、肉離れが疑われます。また、断裂した部位が凹んでいる(陥凹)のが分かる肉離れもあります。
MRIで診断可能ですが、最近では、超音波診断で詳細な部位や重症度まで把握できるようになりました。

肉離れの重症度

ストレッチした時に生じた痛みの度合いで、重症度が分かります。
また、超音波で詳細に診断できます。

肉離れの予防と治療

肉離れの処置としては、基本は「RICE処置」、Rest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)です。その後の治療としては、これまでは、「しばらく安静にしましょう」となっていたかもしれませんが、近年では、微弱電流療法(マイクロカレント)やPRP療法が肉離れに効果があり、早期復帰につながるということがわかってきました。当院では、患者さんそれぞれの背景に応じて、積極的にこれらの治療の提案をさせていただきます。
競技に復帰する時は、ストレッチ時の痛みが解消されて、かつ肉離れを起こしていない方と同じ通常のストレッチ感(筋肉が伸ばされている感覚)になるまで、ダッシュ・ジャンプといった動きを控えましょう。
マッサージやストレッチを行うことは、治療だけではなく予防にも有効です。
当院では、理学療法士が運動器リハビリテーションを通じて、スポーツ復帰までサポートさせていただきます。

アキレス腱断裂

アキレス腱断裂の症状

アキレス腱断裂の症状よく「バットで殴られたような痛み」「ボールが当たったような衝撃」などと例えられることが多く、中には断裂した瞬間、破裂したような音が聞こえた方もいらっしゃいます。
受傷直後は、断裂した足に体重をかけることができなくなって転んだり、座り込んだりしますが、時間が経つと歩けるところまで回復するケースが多いです。
しかし、歩ける状態になっても、つま先立ちはできなくなります。 断裂していても、足首(足関節)を動かすことは可能です。

アキレス腱断裂の原因と病態

ダッシュやジャンプ、踏み込みなどの動作で、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋) が急激に縮んだ時や、着地動作などによって急に筋肉が伸ばされた時に断裂します。腱の老化現象が基盤にあるとされています。
スポーツに取り組んでいる30~50代の方に多くみられ、レクリエーション中に受傷する傾向が強いです。

アキレス腱断裂の診断

触るとアキレス腱断裂部のへこみ(陥凹)が分かります。また、へこみだけではなく圧痛も伴います。
また、X線検査を行っても、異常が発見されないことがほとんどです。 通常の場合、うつ伏せになって膝を90度に曲げた状態で、ふくらはぎを強くつまむトンプソンテストを行うと、つま先が下がる(底屈)ようになります。
しかし、アキレス腱が断裂した場合、つま先が下がらなくなります。
MRIで診断可能ですが、最近では、超音波診断で詳細な部位や重症度まで把握できるようになりました。

アキレス腱断裂の予防と治療

ギプスや装具を着ける保存治療と、断裂したアキレス腱を直接縫ってつなぐ手術治療を行います。
どの治療法でもメリット・デメリットはありますので、納得できるまで医師と相談してから決めていきましょう。
手術が必要な方は、当院と連携している医療機関へ紹介します。
一般的には、軽めの運動を行えるようになるまで、4ヵ月程はかかります。怪我を気にせず、思い切ってスポーツ活動ができるようになるまで回復するには、最短でも6ヵ月程度要します。

足首の捻挫

普段の⽣活やスポーツなどの最中に、⾜⾸をひねることを「捻挫」といいます。
軽度の場合は痛みが長く続きませんが、重度の場合は前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい:足首の外側にある靭帯)が断裂(前距腓靭帯断裂)したり、部分的に損傷していたりする恐れがあります。
さらに、前脛腓靭帯や踵腓靭帯(ちょうひじんたい)にも断裂や損傷が起こるケースもあります。 靭帯が損傷・断裂していても問題なく歩けることが多いため、適切な治療を受けずに放置してしまう方は少なくありません。
しかし、靭帯の断裂を放置すると、⾜関節不安定症(⾜⾸の関節が不安定になる状態)になってしまい、完治できなくなることもあります。

足首の捻挫の病態

捻挫の重症度はⅠ度〜Ⅲ度で分かれ、段階によって治療法は異なります。

Ⅰ度(軽度)

靱帯にわずかに損傷している程度です。 数⽇経つとスポーツに復帰できるようになるまで回復します。

Ⅱ度(中度)

靱帯の一部が断裂している状態です。 圧痛(押した時の痛み)や腫れを伴っていて、スポーツ復帰までには2週間以上かかります。靭帯に負担がかからないよう、テーピングや装具を使って固定する必要があります。

Ⅲ度(重度)

完全に靱帯が断裂してしまっている状態です。 強い腫れや圧痛、⽪下出⾎が現れます。
断裂した靱帯を縫合する⼿術を受けたり、リハビリテーションを受けたりする必要があります。
スポーツ復帰まで数ヶ月かかります。

足首の捻挫の診断

⾜⾸の外側には3つの靱帯があり、前距腓靭帯と踵腓靭帯、後距腓靭帯で構成されています。
中でも「前距腓靭帯の断裂」と「前距腓靭帯と踵腓靭帯の複合断裂」は、⼿術が必要となる場合があります。
足関節が腫れるので、捻挫していること自体はすぐにわかると思います。また、X線検査で大きな骨折があるかないかはすぐにわかります。しかし、どこの靱帯が損傷しているのか、細かい剥離骨折はX線検査ではわかりません。当院では、超音波検査で、どこの部位がどれだけ損傷しているのかきちんと診断した上で、治療を提案させていただきます。

足首の捻挫の治療

捻挫の処置としては、基本は「RICE処置」、Rest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)です。その後の治療としては、これまでは、「しばらく安静にしましょう」となっていたかもしれませんが、近年では、微弱電流療法(マイクロカレント)やPRP療法が捻挫に効果があり、早期復帰につながるということがわかってきました。当院では、患者さんそれぞれの背景に応じて、積極的にこれらの治療の提案をさせていただきます。
重症度がⅢ度で、不安定性が強かった場合、手術が必要となる場合があります。その場合は、提携先の医療機関へご紹介させていただくことがあります。
保存加療でも手術加療でも、安静期間が長ければ長かったほど、関節可動域が低下し、筋力低下も来します。当院では、患者さんの状態に合わせて、運動器リハビリテーションを行い、スポーツ復帰までサポートさせていただきます。

PRP療法

PRP療法とは

PRP、PFC-FD療法患者様の血液から血小板を抽出して作ったPRP(Platelet Rich Plasma、多血小板血漿:たけっしょうばんけっしょう)を、身体の損傷している部位に注入する治療法です。PRPとは、血小板が多く含まれている血漿で、「止血する役割」と「組織の修復を促す成長因子を出す役割」を持つ血小板の力を利用することで、自然治癒力(自分で自分の身体を修復する力)を引き出させます。
治りにくい疾患や、完治するまで時間がかかる怪我などの治療に用いられ、整形外科や歯科、形成外科など、あらゆる診療科で活用されています。
整形外科では主に、関節炎やスポーツ障害・外傷などを治す時に、PRP療法が活用されています。

PRP療法の適応疾患

主に、変形性膝関節症(中年~高齢者が発症しやすい膝の痛み)や膝半月板損傷をはじめ、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)やゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)、野球肘、肩腱板損傷、アキレス腱炎、肉離れ、ジャンパー膝(膝蓋腱炎)、捻挫・靭帯損傷、足底腱膜炎などの疾患を治す時に利用されています。
アメリカでは主にプロのアスリートが利用している治療法で、田中将大選手や大谷翔平選手が受けたことがある治療法として知られています。長期間リハビリを受け続けても効果が得られなかった方にも、効果が期待できます。

PRP療法

集束型体外衝撃波治療

集束型体外衝撃波治療とは

衝撃波を患部に照射する整形外科では新しい治療法です。
ヨーロッパを中心に、足底腱膜炎やテニス肘などの多くの疼痛性疾患の除痛を目的とした治療に応用され、広まってきています。
最近では、なかなか治らなかった骨折の治療にも効果があることがわかり、適応疾患が広まってきています。

集束型体外衝撃波治療の適応疾患

  • 足底腱膜炎
  • アキレス腱炎・アキレス腱付着部炎
  • 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
  • テニス肘(上腕骨外側上顆炎)・ゴルフ肘(上腕骨
    内側上顆炎)
  • 四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)
  • 石灰沈着性腱板炎・腱板炎
  • 偽関節・疲労骨折
  • 早期の離断性骨軟骨炎・早期の骨壊死

集束型体外衝撃波治療

「とにかく早く復帰したい」というのがアスリートの気持ちだと思います。これらの新しい治療を行うことで、「ただ安静にして痛くなくなるまで待つ」だけから、「積極的に治療して早期に痛みを取り除いて復帰する」といったことが可能になってきました。
これらの治療は、効果が期待できる反面、保険外診療のため自費治療となってしまうというデメリットはありますが、当院ではそれぞれの患者さんのニーズに答えるべく、積極的にこれらの治療をご提案させていただきます。

装具療法

装具とは?

身体の一部を外部から支えて関節の動きを制限し、保護することで痛みを緩和したり変形を防いだりする医療用具です。日常生活やスポーツで行う動作の改善を図るために使います。 足関節や膝関節などの痛みで、日常生活やスポーツで行う動作がスムーズに行えない方に対して用いられます。
具体的に言いますと、腰痛や足関節捻挫、変形性関節症、その他足のトラブルなどを抱えている方、歩き方やスポーツのパフォーマンスを改善したい方が装具療法の対象者となります。

取り扱い装具

当院では、腰椎コルセット、膝の装具・サポーター、手関節の装具・サポーター、外反母趾装具、靴型装具、インソール(足底板)などの装具をそろえています。
主に治療を目的とした装具は、保険適用となります。一人一人の型を取って作製するものから、サイズ計測のみのものまで様々なものがあります。
また、スポーツなどの動きやすさを考慮されながらも、患部の安静を保つスポーツ用装具も各種とりそろえております。
こちらは通常の市販価格となりますのでご了承ください。
患者様が日常生活を送る上でなるべく不便にならないよう、そして、快適な状態で使い続けられるようにするため、一人ひとりの身体に合った装具の作製・調整を心がけています。

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